古い機械のIoT化で何が出来る?


 「属人化(個人商店化)している工程を、全社で見えるようにして(見える化)、機械の稼働率を高くする!」

  IoTはInternet Of Thingsの略で、物をインターネットにつなげることです。工場だと、たくさんある機械にセンサーを付けて、インターネットを経由して、工場や機械の情報を集めるのに使えます。

 工場で使うことのできるIoTとしては、

 ・広い工場内や、各工作室の温度・湿度・騒音管理
 ・機械の稼働状況(パトライトの状態・生産数・スイッチの状態・異常ランプやその他ランプの状態)
 ・機械の温度・振動数・消費電力・機械のメータ(加工圧など)の管理

があります。

シチズン コードレス温湿度計シチズン コードレス温湿度計

工場内や作業エリアの温度・湿度管理の目的としては、温度・湿度管理のために、出入りをしない方がよいエリアの温度管理や、労働者の作業環境の管理などがありますが、昔からコードレス温湿度計は販売されているので、必要な企業はもうすでに導入済みかと思います。

IoTが流行っているからとか、「IoT化を検討しろ」っていわれたけど、IoTで何ができるのだろう?という質問で難しいのは、機械の稼働状況の管理です。IoTを導入することで、パトライトの状態・生産数・スイッチの状態・異常ランプやその他ランプの状態の状態、機械に設置されたメータ類が分かって、どうするのだろう?とだいたいの方は疑問に思います。

一台の機械だけをIoT化することのメリットは、よほど危険で近寄れないところにある機械以外は無いように思いますが、皆さんの工場に機械は沢山ありますか? それら機械は一日中動作しているでしょうか? どの機械が稼働していて、どの機械が止まっているか把握できていますでしょうか? 技術者に段取りの熟練度が違って、製品によってはよく機械が止まっていないでしょうか? 

「加工に詳しくないと、工場のカイゼンは難しい」

それぞれの職人が個人商店のような機械加工ですと、職人は個々のペースで自由に加工を続けます。そのような状態では、なかなかカイゼンが進まなかったりします。賃金の高い日本でモノづくりをしている以上、熟練した技術者が若手技術者を指導してのカイゼンはどこの工場でも常時実施しているのだと思います。ですが、賃金は上昇しており、多くの工場にとって、加工賃はなかなか上げられない(または徐々に安くなっている)中で、技術者にそれ以上のカイゼンを期待するには、どのような生産状況なのか? ボトルネックは何か? 未熟な技術者から「困った」サインが出ていないのか? 不良が出ない最適な機械の加工速度は何か?等の全社的な情報をつかみ、カイゼン方法を現場技術者と話し合うことが必要です。

「前を見ないで車を運転するのは危ない」のと同じように、工場の状況を見ないで経営すると高コストな企業体質になる危険性があります。IoT化を進めることで、機械の稼働状況についての詳細な情報が得て、現場の技術者と対等に話合える土俵を作ることで、カイゼンの糸口を見つけ出し、機械稼働率の上昇・生産効率の向上につなげていくのが、工場の古い機械をIoT化する目的です。

「税理士にお金を払って作成してもらった財務諸表を特に活用していない中小企業はたくさんありますが、銀行やコンサルはそれをフル活用して、経営者と対等に話合える土俵を作っています。IoT化で工場の稼働状況が分かるようになっても、活用しなければ役には立ちません。それでもIoT化によってデータが蓄積されることで、外部から支援を仰ぎやすく(状況を理解してもらいやすく)なるのは財務諸表に似ています。」